HACCPクリエータ導入事例:
アピ株式会社本巣工場 様

「HACCPクリエータを使えば、表計算ソフトを
使っていたときに比べ、1/10ぐらいの
作業時間で関連文書を作成・メンテナンス
することができます」

アピ株式会社 本巣工場

HACCP関連文書作成の専門ツールを導入することで、作業負担を大幅に軽減。
現場主導で食品安全マネジメントへ取り組む意識改革にも成功。

FSSC22000の認証を取得しているアピ株式会社本巣工場(以下、本巣工場)では、HACCPクリエータを利用して、フローダイアグラム、ハザード分析表、OPRP/CCP管理表を現場責任者が作成・メンテナンスできる環境を実現した。HACCPクリエータの導入経緯と効果について話を伺った。

アピ株式会社
本社所在地 岐阜県岐阜市加納桜田町1-1
創業 1907年(明治40年) 養蜂器具の製造と販売を行う事業を開始
従業員数 860人
事業内容 岐阜県で1907年に養蜂業からスタートし、創業107年目となる企業である。
1990年代に健康補助食品のOEM事業に乗り出し、2000年代には医薬品事業にも進出。現在、大きく分けて健康補助食品・医薬品・養蜂・原料の4つの柱がある。「人々の健康に寄与したい」をキーワードに、開発型・提案型企業として広くOEM事業を展開している。
本巣工場のほか岐阜県内に5工場を設けている。
本巣工場と揖斐川工場において、FSSC22000の認証を取得している。

アピ株式会社 本巣工場(写真提供:アピ株式会社)

食品メーカーとして、食品安全管理体制強化へ取り組むアピ

本巣工場においてFSSC22000認証を取得した理由を教えてください。

食品メーカーとして、製品の安全を継続的に確保するための管理体制を整備・定着させること。そして、それを対外的に説明できるようにすることが、FSSC22000認証を取得した目的です。近年注目されているフードディフェンスへの取り組みへの強化にもつながる活動でもあるので、トップダウンで認証の取得を進めました。

また、飲料メーカーや大手流通チェーンでは、サプライチェーン全体で食品安全マネジメントシステムを活用する動きも見られるようになってきましたので、原料サプライヤーとして、そして食品メーカーとして、的確に対応できる体制を構築するという目的もあります。

本巣工場及び揖斐川工場において、2012年にFSSC22000の認証を取得しています。

アピ株式会社生産本部本巣工場
管理課主任
池田 昌博 氏

大きな負担となっていたフローダイアグラムや関連文書の整合性確保

HACCPクリエータを導入した目的を教えてください。

「HACCP文書のメンテナンス作業が属人化しかねない状況でした」

認証を取得した最初の年は、まだHACCPクリエータを導入していなかったので、「フローダイアグラム」、「ハザード分析表」、「OPRP/CCP管理表」という3つのHACCP文書に関して表計算ソフトを使って作成しました。

これらの文書を作成する作業は、とても手間と時間がかかる作業で、次年度以降もPDCAサイクルを回し、内容を修正したり、追加し続けなければならないのであれば、担当者を増員するなど、運用体制の見直しを検討せざるを得ないと考えるほどの状況でした。

そのため、文書作成・修正作業を効率化する手段としてHACCPクリエータを導入しました。

アピ株式会社生産本部 本巣工場
生産管理課主任
澤田 昇司 氏

初年度、HACCP文書は何人体制で作成したのですか。

各工程の担当者からヒアリングをして、1人で文書作成作業を担当しました。

初年度は慣れない作業でもあり、それなりに手間もかかると思いますが、次年度以降は既存の文書を修正したり、新規で追加をするにしても数は限られるので、作業負荷は限定されるのでは?

表計算ソフトを使うのであれば、むしろ、新規に作成するよりも修正作業のほうが負担が大きいと感じるほど、作業は面倒なものでした。

具体的には、どのように面倒な作業なのでしょうか。

整理をすると、次の3点が作業上の問題となっていました。

1フローダイアグラム作図・修正作業の負荷

表計算ソフトを使って、フローを作図・修正をするのは簡単ではありません。実際に作図をしてみればわかると思いますが、たとえば、工程を増やしたり、削除したりする際、接続線のつなぎ直しなどをするだけでもかなり手間がかかりますし、工程の連番を振り直したりするのにも時間を取られていました。さらに、修正する部分だけでなく、全体のレイアウトの調整を強いられることも多く、単純に時間がかかるだけでなく、精神的にもストレスのかかる作業でした。

2整合性の確保が困難

3つのHACCP文書に同じ内容を記載しなければならないので、それだけでも非効率なのですが、さらに3つの文書の整合性を保たなければならないので、時間を取られました。特に、修正時には矛盾や漏れがないかを入念にチェックしながら作業を進めなければなりませんでした。

3メンテナンス作業の属人化

文書をメンテナンスする際、文書を作成した担当者ならすぐわかるような矛盾点なども、ほかの担当者が作った文書だと気づきにくいこともありました。1人で作業をしているときはいいのですが、複数人で作業をしようとするとかえって効率が悪くなったり、ミスが発生したりといった懸念があり、いわば属人化しかねない状況でした。

フローダイアグラムの作成・修正が容易で、文書間の整合性を容易に確保できる点を評価

HACCPクリエータを導入した経緯を教えてください。

HACCP文書を効率的に作成・修正する方法はないか調べてみたところ、HACCPクリエータのサイトを見つけました。以前、業界紙の広告でも見たことがあり、導入を検討するためサン・プラニング・システムズに連絡をして、特別に試用版を提供してもらいました。

HACCPクリエータに興味を持った理由を教えてください。

HACCP文書の作成・修正に特化した専用ツールであるということが最大ポイントでした。逆に、HACCP文書の作成・修正を効率化する製品をほかに見つけることはできず、コンサルタントに問い合わせてみても同様でした。

HACCPクリエータの導入を決めた理由を教えてください。

試用版を使ってみて、手間と時間がかかっていた作業を効率化できることが確認できました。具体的な評価ポイントは、次の2点です。

1フローダイアグラムの作成・修正が容易で、
作業時間を短縮できる

使い勝手の良さに驚きました。特に、優れた作図機能によりフローダイアグラムを簡単に作成・修正することができるので、作業効率を大幅に短縮できると期待しました。

具体的には、どのような機能が便利なのでしょうか。

たとえば工程を削除・追加・変更する際、表計算ソフトでは接続線の処理が非常に面倒でしたが、HACCPクリエータではとても簡単に扱うことができます。また、連番なども自動で振り直されるので、作業時間が短縮され、ミスも減り、やり直しも簡単にできるようになります。

また、専用の図形集が用意されているので、すぐにフローダイアグラムを描き始めることができるのもとても便利です。

フローダイアグラムを効率的に作図できる機能の一例

2フローダイアグラムの作成・修正が、
ハザード分析表やOPRP/CCP管理表へと自動で反映される

HACCPクリエータでは、作成したフローダイアグラムに直接関連情報を登録でき、ハザード分析表やOPRP/CCP管理表を簡単に出力できます。ハザード分析表やOPRP/CCP管理表の作成・修正作業が、実質的に不要となりました。

フローダイアグラムに直接関連情報を登録

逆に、ハザード分析表やOPRP/CCP管理表を修正すれば、その情報も反映されるので、3つの文書の整合性を気にしたり、重複した内容を記載したりする必要がなくなります。

フローダイアグラムから関連文書を自動出力

現場主導で食品安全マネジメントに取り組むきっかけとなったHACCPクリエータの導入

最初に1ライセンスを導入し、その後、追加で3ライセンスを購入されていますが、その理由を教えてください。

以前は、HACCP文書に修正や追加をする際、(1)ヒアリングを受けて、(2)文書を修正してもらい、(3)それを確認する、という流れでしたので、修正のために打ち合わせの時間を調整し、都度、修正内容を確認して、また打ち合わせをするというのは意外に時間が取られ、手間もかかり負担となっていました。

表計算ソフトで作業しているときには、自分たちで作業したいという声は聞こえてこなかったのですが、HACCPクリエータを使っている様子を横から見ていて、これなら簡単に使えそうだと思ったようです。

そのため、業務を良く理解している現場が直接作業してしまったほうが効率的で、内容の精度も高まるのは明白でしたので、各グループで作業ができるよう3ライセンスを追加しました。

導入時、苦労したことなどありましたか。

苦労というわけではないのですが、表計算ソフトで作図したフローダイアグラムはそのまま利用できなかったので、結局は書き直しとなりました。しかし、作図作業は格段に簡単でしたので、大きな負担とは感じませんでした。

また、使い勝手が良いので自己流で使ってしまっているのですが、今となって振り返れば作業者が複数になったので、最初に使い方のトレーニングを受けておいても良かったかと思いました。

導入効果について教えてください。

フローダイアグラムの作成・修正や同じ内容を繰り返し記載するといった単純作業から解放され、作業が簡素化されたことで、 思考が中断されず集中して作業へ取り組むことができるようになりました。客観的に計測したわけではないのですが、作業負荷で見れば1/10ぐらいに軽減されたと感じています。

また、ライセンスの件で話をしましたように、現場主導でHACCP文書の管理・運用ができるようになったことも副次的な導入効果だと捉えています。FSSC22000認証に限らず、規格認証は組織に浸透しなければ形骸化してしまい、本来であれば防ぐことができる事故やトラブルを招くことになりかねません。

今回、HACCPクリエータの導入は、現場が中心となって食品安全マネジメントに取り組んでいくあるべき姿を推し進める重要なターニングポイントになりました。

今後の拡張予定とサン・プラニング・システムズへの評価と期待

今後の拡張予定などがあれば教えてください。

HACCPクリエータには、各工程にドキュメントを紐付けすることもできますので、現場の作業マニュアルとリンクを設定することで、体系的に管理できる仕組みを確立できれば理想的だと考えています。

さらには、本巣工場での取り組みが成果を上げているので、揖斐川工場でも導入を検討しています。

サン・プラニング・システムズへの評価と期待を教えてください。

HACCPクリエータのようなツールは、直接的に売上の向上やコストの削減へと結びつかないことも多く、導入効果が理解されにくく、またその説明も容易ではない部分もあります。

そういうところをうまく解消してくれるノウハウみたいな部分もサポートしてもらえると、導入もスムーズに進むと思いますので、製品の機能や使い勝手の向上とあわせて、今後期待するところではあります。

また、今後も継続的に食品安全マネジメントの活動を続けていかなければなりませんので、さらなるサポートの充実や最新情報の提供などにも期待しています。

お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

サン・プラニング・システムズ伊藤 史朗 氏(右)